副業は、雑所得として申告するのが基本です。
ですが、インターネット等で調べると、
開業届や青色申告など、
事業所得についての説明を目にすることも多いです。
雑所得なの?事業所得なの?と迷ったときの判断根拠をまとめました。
目次
1. 定義から判断
2. 確定申告書の様式から判断
(業務に係る雑所得について)
3. 事業所得と迷う理由
4. まとめ
1. 定義から判断
定義
副業だから、事業って感じではないのかな?給与でもないから、雑所得でいいのかな?なんとなくのイメージはつきますが、定義だけではピンときません。
具体例
国税庁のHPをみると
例示のところに、「副業」とあります。具体的には「シェアリングエコノミー」が明記されました。
シェアリングエコノミーというと、例えば、Uber Eatsの副業などが、雑所得にぴったり当てはまります。他にも、ココナラやクラウドワークス経由の副業が当てはまります。
また、確定申告のパンフレットでは、フリマアプリの収入が雑所得として例示されています。

(国税庁 – 令和2年分の確定申告においてご留意いただきたい事項)
このように、国税庁HPやパンフレットの具体例を見てみると、副業が雑所得かどうかが、少し明確になると思います。
2. 確定申告書の様式から判断
(業務に係る雑所得について)
確定申告書も変わりました
令和2年度分から、申告書の様式が変わりました。
副業する人の増加に伴い、「業務に係る雑所得」という区分ができています。

業務に係る雑所得とは?
国税庁HPをみると、
「業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。」(国税庁タックスアンサー)
つまり、業務に係る雑所得とは、副業収入のことです。
「営利を目的とした」は、収入を得る目的があれば当てはまります。「継続的なもの」は継続する業務内容であれば当てはまります。週末のみや年数回でも当てはまります。
ここまで見ると、副業はやはり(事業所得ではなくて)雑所得でいいんだ!と判断しやすいと思います。
3. 事業所得と迷う理由
ただし・・・
副業の定義は?
副業には、一般的にも税法上も、明確な定義がありません。
Wワークや週末起業など、呼び方も色々で、副業の意味や働き方には個人差があります。
そのため、稀なケースですが、副業が事業所得になる人もいます。(副業について調べると、開業届や青色申告などの情報がでてくる理由はここです)
もし、事業所得になったら?
節税の観点からは、有利になります。
例えば、損益通算(副業で損がでたときに、他の給与所得などと相殺してよい)や、欠損金の繰越控除ができるようになります。雑所得にはないメリットです。
なぜかというと
事業所得は、それで生計を立てる人を想定しているので、稼ぎがないときには税負担が軽くなるよう考慮されているからです。雑所得は、副収入の位置づけなので、そのような配慮はされていません。
だからこそ
副業を事業所得とするには、それで生計を立てていると信じてもらえるだけの根拠が必要です。客観的にみてそうでない副業を、安易に事業所得にしてしまうと、脱税目的を疑われやすくなってしまうのです。
迷ってしまう理由
それでも
・副業は雑所得だが、その副業の定義がない
・副業が事業所得になるケースもなくはない
・事業所得にすると節税になる
といった情報が交錯すると、ご自身の副業を雑所得にしてよいのか、迷ってしまうと思います。
ただ、繰り返しですが、事業所得にするには十分な根拠が必要です。あいまいな理由では、修正申告(+加算税)の可能性もあります。税務調査がくる可能性は低いですが、このようなリスクを知らずに事業所得としてしまうのは避けたいところです。
事業所得になるのは、イメージとしては、他人が聞いてどっちが本業・副業かわからないような状況です。これについては別の機会に。
4.まとめ
ご自身の副業が、雑所得かどうか?判断するとき、見るべき条文と公式情報はこちらです!
定義
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
所得税法第35条
具体例
例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
確定申告書上の該当区分
■新しい区分の案内
■「業務に係る雑所得」区分の意味
業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。
■申告書の記入欄
■オフィシャルソース
・所得税法
・国税庁 – 雑所得
・国税庁 – 令和2年分の確定申告度の所得税改正